日本製紙が豪製紙三位のAP社を買収。

国内製紙2位の日本製紙がオーストラリア製紙3位のオーストラリアンペーパー(AP)を買収する。買収費用は総額で6億オーストラリアドル程度になる見込みで、製紙会社の海外M&Aでは過去類を見ない規模となる。

買収の対象となっているのはAP社がオーストラリア国内にもつ主力4工場のうち二工場で、これにより日本製紙はAP社の生産能力のうち85%を手に入れることになる。とは言え、AP社買収で日本製紙の狙っているのは生産能力の確保だけではない。製紙業界各社は07年から09年春にかけての大規模な設備拡充計画の結果、生産能力が平均で1割程度上昇している一方、需要は景気悪化の影響で縮小している。また、人口減少が見込まれる国内市場は、長期的に見ても紙需要が増えるとは考えにくい。そのため、むしろ現状では生産過剰状態にあると考えられる。

そのような状況の中、それでも日本製紙がAP社買収の決断にいたったのはアジア・オセアニア地区のマーケットを獲得するためだ。アジア・オセアニア地区は金融危機の影響が比較的小さく、また将来マーケットが拡大する公算も大きい。加えて、AP社がマーケットリーダーであるオーストラリア印刷・情報紙市場はそのなかでも一際安定した成長が見込める分野だ。売上規模の拡大を目指す日本製紙にとって、AP社は理想的な買収パートナーだったと言える。

時期的な面からの後押しも強い。昨年以来の為替レート変動の恩恵で、日本製紙はAP社買収をかなり「安く」すませることができるからだ。

今回の事例における最大の懸案事項、日本製紙がAP社をうまくコントロールできるのか、という点だ。M&Aの成功如何は、買収後の経営マネジメントによるところが大きい。海外企業の大規模なM&Aの経験に乏しい日本製紙は、AP社の買収前に見込んでいただけの成果を挙げることが出来るのだろうか。