ローム&ハースがダウ・ケミカルを提訴、買収完了を求める。

 米特殊化学品メーカーのローム・アンド・ハースは、米化学大手ダウ・ケミカルが買収完了を遅らせるために独禁審査を引きのばしていると主張し、早期の買収完了を求めてデラウェア州の裁判所に提訴した。

 ダウがR&H買収の完了を遅らせているのには、止むを得ない事情もある。世界的な金融危機で資金調達がより困難さを加えている上、クウェートとの合弁契約が不調に終わったことにより買収資金調達計画が大幅に狂ってしまったのだ。それに加えて、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは先月、投資適格としては3番目に低い格付けとなるBaa1にダウを格下げした。ダウとしては、出来るだけの手段を使って買収を先送りしたいと考えたとしても仕方が無い状況だ。

 仮にR&H側の主張が通ってダウが買収審査を加速させたとしても、買収資金の調達がうまく言っていない上、世界的な不況の影響を受けて本業である化学産業の業績さえ危ぶまれる同社が買収を実行できるのかどうかは危うい。R&Hの買収を急いだ結果、ダウが経営不安に陥る可能性もある。ダウは最終消費財メーカーに素材を供給する化学業界で、BASFとデュポンに次ぎ世界三位の規模をもつ。そのダウが経営危機に陥れば、その悪影響は広範かつ深刻なものになるだろう。慎重な判断が望まれる。