シティが日興コーディアルの売却を検討。

 米金融大手のシティグループが、傘下の日系リテール証券会社である日興コーディアル証券を売却する方針であることが分かった。シティが所有するもう一方のリテール証券会社スミス・バーニーのモルガン・スタンレーへの売却が発表されたのは今月13日であったが、その際には日興コーディアルの売却予定がないことが明言されていた。しかし、16日に発表された2008年10-12月期決算で83億ドルもの赤字を計上してしまったため、方針の転換を余儀なくされたようだ。

 シティは日興コーディアルの売却先を見つけるのはそう難しくないと考えているようだ。確かに日本の金融各社は各国の主要な金融会社に比べて財務内容が安定しているとは言える。とは言え足元の業績が悪化していることは国外の金融機関と変わりは無く、シティが日興コーディアルグループ取得に投じた資金約1兆円の大部分は回収出来ないだろう。

 2007年から2008年初頭にかけての旧日興コーディアルグループ買収先を決める争奪戦で、シティと激しく争ったのは三菱UFJFG。みずほFG、三井住友FGのメガバンク三行だった。今回の日興コーディアル売却先も、この三行が有力だろう。

 その中で最有力と目されるのが三菱UFJFGだ。日興の買収に成功すれば、既存の証券事業と合算した証券リテール部門での預かり額は41兆円規模となり、68兆円で首位の野村證券に比肩し得る規模となる。しかし三菱UFJFGは昨秋モルガン・スタンレーに9000億円出資した後金融情勢の悪化を受け、2009年3月期決算が初の最終赤字になる可能性がある。そんな中、日興取得に巨額の資金を調達するのはかなり厳しいのではないだろうか。

 一方、みずほFGにとっても日興コーディアルは魅力的な存在だ。かつて日興と資本提携を結んでいたみずほFGは、2007年も日興買収に意欲的だった。みずほFGの所有する証券会社、新光証券とみずほ証券のリテール部門を合算しても、日興の事業規模にははるかに及ばない。景気悪化で本業の銀行業務の収益が悪化する中、比較的景気の影響を受けにくい証券リテール部門を強化することによって収益基盤を強化したいみずほ銀行にとっては、日興買収は旨味の多い選択肢だと言える。

 日興側にとっても、売却先がメガバンクに決まることによるメリットは大きい。銀行の持つ信用力と営業力を用いれば、収益態勢を強化することが出来る。