東芝が富士通のHDD事業買収を発表。
東芝は、富士通のハードディスク駆動装置(HDD)事業を買収することで基本合意した。東芝が買収の対象としているのはタイとフィリピンの組立工場と山形富士通(山形県東根市)の開発部門で、残りのディスク生産部門については昭和電工に売却する方針で交渉中だ。
現在、HDD世界市場における東芝のシェアは9%で、主要6社中4位だ。富士通のHDD事業買収が実現すれば世界シェアは16%に上昇し、3位の日立製作所に並ぶことが出来る。中でも東芝と富士通の両社が得意とする分野で、ノートパソコンやカーナビ向けに需要を伸ばしている2.5インチ以下の小型HDD市場のシェア拡大が目覚しい。両社を併せた同分野のシェアは31%で、これまで首位だった日立製作所を抜いてトップになる。東芝は、買収で得た規模の経済を生かして収益構造の改善に役立てたい考えだ。
一方、富士通にとっては重荷になりかけた不採算事業を切り捨てることが出来たことになる。富士通のHDD市場シェアは主要六社中最下位で、営業利益では数十億円の赤字だったと見られている。金融危機に起因する世界的な不況で電機メーカーの業績が悪化する中、赤字が拡大する前に事業売却を纏めることが出来た意義は大きい。
これでHDD市場のプレイヤーは、日立製作所、米ウエスタンデジタル社、米シーゲート・テクノロジー社、韓サムスン電子社、そして富士通のHDD部門を買収した東芝の五社体制となる。しかし、これは国境を越えた再編が続く可能性がもう無くなったということを意味するわけではない。1990年代初頭HDDメーカーは世界で40社程度あったが、それから僅か20年足らずで5社にまで統合・再編された経緯がある。HDD業界のM&Aを推し進めたのは、この業界特有の技術成長速度の速さだ。技術開発に伴いHDD価格は毎年10%前後の割合で下落を続けるため、この市場で長期にわたって収益を確保し続けるのは非常に難しい状況となっている。HDD最大手の日立も、02年に米IBMの同事業を2600億円で買収したが、未だに採算確保に苦しんでいる。近い将来、HDD市場の主要プレイヤーは更に数を減らすことになるのかもしれない。







