AIGの事業売却が進展。

 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の経営再建計画に大きな動きがあった。特殊保険会社ハートフォード・スチーム・ボイラー・インスペクション・アンド・インシュランスの親会社でAIG傘下のハートフォード・スチーム・ボイラー(HSB)を、ドイツ再保険大手のミュンヘン再保険に売却することで合意したと発表した。一方、AIGエジソン生命保険とAIGスター生命保険は、来年4月以降に予定されていた合併計画の凍結を発表した。

 AIGは金融危機の影響で業績と資金繰りが悪化し、9月と11月の二度に渡りアメリカ政府と連邦政府理事会(FRB)から巨額の公的資金を投入されていた。それを受けて発表された経営再建計画では損害保険事業に経営資源を集中し、その他の再保険事業や生命保険事業は売却する方針が示されていた。融資の返済に向けて一刻も早く資産売却を進めたいAIGだが、計画の進展は思わしくない。経済環境の悪化で自社の損失が膨らむ上、買い手候補の側でも資金調達が難しくなっているからだ。大きな取引が進展しないまま時間が経過するにつれ、AIGが売却を目論む事業の価値はどんどん下落する傾向にある。売却が遅れるほど、公的資金の返済はより困難さを増すという状況だ。

 売却先が決定したHSBは、140年以上の歴史を誇る特殊保険・再保険業界の大手だ。売却価格は7億4200万ドル程度になる見込みで、AIGが2000年に同社を取得した際の価格である約12億ドルを大きく下回る。HSBはAIGの所有する事業で最も評価の高い事業だと見られていたが、AIGは多額のディスカウントを受け入れている。また、東邦生命を引き継いだAIGエジソンと千代田生命を引き継いだAIGスターについては既に第一次入札が締め切られており、順調に進めば1月中には売却先が決定する見込みだ。合併凍結は、新たな株主の判断を重視したいというAIGの意向が反映したものだろう。
 事業売却を急ぎたいAIGは、買い手側への譲歩を余儀なくされている。