M&Aにおける知的資産価値判定は益々重要に。

 フィナンシャル・タイムズ・グループのM&A情報サービス会社マージャーマーケット(mergermarket)が発表した報告書「M&A Insights: Spotlight on Intellectual Property Rights」によると、今後、M&A時の買収価格における知的財産の重要性はますます高くなっていくと考えられているようだ。

 調査報告書は、企業の幹部とプライベート・エクイティ運用担当者が知的資産をどう評価し、また課題や機会にどう対応しているかを調査してまとめたものだ。調査結果によると、企業回答者の85%とPE回答者の72%が買収対象企業の評価において「知的資産はその他の資産より重要」と回答している。また、全回答者の半数が「今後5年でM&Aにおける知的資産の重要性が増す」、回答者の大半(80%)が「不十分なデューデリジェンスの影響」として「知的資産リスクの把握の失敗」を挙げた。「不十分なデューデリジェンスの原因」に関しては企業回答者が「時間の不足」(56%)と「リソースの不足」(46%)を挙げる一方、PE回答者は「特定された法的問題を評価モデルに関連付けられないこと」を挙げた。

 特許や商標登録数の世界的な増加からも分かるように、M&Aでも知的財産が益々重要になることは明らかだ。この調査結果からも知的財産の重要性に関するコンセンサスが形成されていることが読み取れる。しかし、現状ではまだ知的財産のデューデリジェンスはM&Aにおける中心的なプロセスとはなっていない。それを検討しようにも、一般的に用いられているM&A評価モデルには知的財産を判定するケイパビリティが無い上、時間的な制約も大きい。そのため買収によって取得する知的財産の生む競争力、事業機会やリスクを前もって十分に検討できていない。この調査報告書からはそんな状況を読み取ることが出来る。