化学産業に激変の様相。
金融危機に起因した自動車や家電など製造業の生産減少、成長の牽引役だった中国市場の減速、そして資源価格の乱高下に翻弄される化学産業は今、激動の時代を迎えている。
この激動期は確かに大きな試練の時期である。しかし、同時に事業再編の好機でもある。
化学産業は2002年からの景気拡大とシンクロし、業績を伸ばし続けてきた。中でも中国市場の拡大は化学産業にとって大きな追い風となってきたが、今年に入ったころからその様子にはかげりが見え始めた。直接の要因は資源価格の高騰、そして急落である。ドバイ原油価格は7月には一時140ドルを記録したものの、リーマン・ブラザーズ破綻に起因する金融危機を端緒として一気に値を下げ、現在は40ドル前後で推移している。僅か五ヶ月の間に三分の一以下にまで下げたことになる。それを受け、化学製品需要国では先安感からの買い控えが広がり、日本からの輸出量は減少傾向にある。
化学業界では、拡大を続けた外需に依存した過剰供給体質を改善する業界再編に向けた機運が高まっている。各社は設備投資の見直し、不採算事業からの撤退といった守りの戦略をとる一方、成長分野への投資は怠らない構えだ。投資事案の選別は各社の長期的な経営戦略に直結する。厳しい環境にあるときほど成長事業に種を撒く好機であるからだ。特に将来の成長が見込める環境エネルギー分野のリチウムイオン電池や太陽電池などへの投資は、この時期に来てむしろ増加傾向にある。
旭化成は90億円を投じ、リチウムイオン電池の主原料となるセパレーター生産能力の倍増を目指す。また三菱ケミカルホールディングスでは三菱樹脂が同様にセパレーター生産能力を、三菱化学が電解液や極材といったそれ以外の必要材料の生産能力倍増を企図している。太陽電池の分野では三井化学、東レ、帝人がバックシート用のPETフィルムに投資を続けている。
また、中には円高と株安を利用して積極的にM&Aを進める企業もある。三菱レイヨンは11月、英化学大手のルーサイト・インターナショナルの買収を発表した。ルーサイト社の筆頭株主だった投資ファンドが金融危機に直面し、売却を急いだ結果、売却金額は当初の想定額を大きく下回ったそうだ。
急激な環境変化は化学業界にとって好ましいものではあり得ない。しかし、この状況を生かすことができるかどうかが、次の時代の成長と繁栄を占う主要素となることは間違いない。






