三菱商事がイオンに出資。筆頭株主に。
三菱商事はイオンの発行済み株式の5%程度を取得し、近く資本・業務提携することを発表する。三菱商事は株式市場で5%をめどにイオン株を買い進めており、実質筆頭株主だったみずほコーポレート銀行(出資比率3%)を抜き、筆頭株主となる。取得額は300億円を超す見通しで、この提携が市場縮小に喘ぐ小売業界再編の引き金となる見込みもある。
イオンの業績は暗い。2008年八月期の売上高は小売業界首位のセブン&アイ・ホールディングスと肩を並べたものの、営業利益ではセブン&アイ・ホールディングスが過去最高益を更新する一方、イオンは赤字に転じた。今回の資本・業務提携の狙いは、この低収益体制を脱却することにある。97年に岡田元也氏が社長に就任して以降、イオンはウォルマートを見本に規模の拡大を目指してきた。その結果連結売上高は二倍以上に膨らんだものの、現状では規模が利益を生んでいるとは言い難い。そこで三菱商事との連携を生かし、低収益事業を改善する目論見だ。具体的な改善策としてはローソンの店舗網を活用した電子マネー・銀行業の支援、三菱商事が持つ「ユニクロ」バックアップのノウハウを用いた衣料品部門の建て直し、三菱商事のネットワークを利用した海外の成長市場への出店や仕入先開拓等が考えられる。
一方、今回の提携は三菱商事側にも大きなメリットがある。総合商社各社は資源価格の高騰を受け、2009年三月期は軒並み最高益を叩き出す見込みだ。だが景気後退で資源価格は急落、その後も乱高下している。この資源価格変動リスクをヘッジする安定事業として、小売業は非常に魅力的な存在だ。これまで総合商社各社は小売事業の中核である食品事業の原材料調達を強みとしてきたが、収益機会を増やし、また調達をより戦略的に行うため、今後はより広範囲にわたって小売事業を展開したい考えだ。中でも小売業の「出口」を押さえることで、原料から、製造、流通、販売の各段階に手を広げたいという思惑だ。
しかし小売業の利益率はそれほど高いものではない。三菱商事でも、小売業を含む「生活産業部門」の利益率は全部門平均を下回る。また、消費不振で株価が弱含む小売産業への出資は株価減損のリスクもある。消費市場そのものの先行きも決して明るいものではない。
商社と小売大手の関係は三菱商事―イオン、三井物産―セブン&アイ、伊藤忠―ユニー、
丸紅―ダイエーの枠組みとなったが、今後はユニーとの関係が業務提携に留まる伊藤忠、西友に一時出資しながら保有株をウォルマートに売却した住友商事などの動きが注目される。









